セルに入力された日付は、表示形式を使って、和暦でも西暦でも自分の好みの形式で表示させることができます。
でも、表示形式を和暦で設定すると、Excelの規定で、平成元年は「平成1年」と表示されます。
これで正解なので、気にならない方はそれで全然OKなのですが、「いやぁ、平成元年って表示されないと落ち着かないなぁ」という方もいらっしゃるはず。
「平成1年」の日付を「平成元年」と表示させる方法は、このページでご紹介するユーザー定義の表示形式を使う方法と、条件付き書式を使う方法の2つがあり、それぞれに長所と短所があります。
【ユーザー定義の表示形式を使う場合】
- Excelの基本である「日付の見え方を変えるのは表示形式」というシンプルな発想で済む。
- ユーザー定義の表示形式の設定が長い。
- 設定が簡単。
- 数ヶ月経ってから設定を確認したいとき、条件付き書式で設定したこと自体を忘れてしまい、[セルの書式設定]でひたすら表示形式の設定を確認してしまう。
どちらを使うかはあなた次第。
このページでは、1つ目のユーザー定義の表示形式を使う方法をご紹介します!
「平成元年」と「昭和64年」
「平成元年」の年は、「西暦1989年」です。
実はこの1989年、最初の数日間は「昭和64年」、そしてそれ以降は「平成元年」と、同じ年なのに元号が2つある特殊な年です。
じゃぁ一体全体、この年の何日までが「昭和64年」で、何日以降が「平成元年」なの?ということになるわけですが、少なくとも私は覚えていません。
そこで、このような実験をしてみます。
この年の1月1日は「昭和64年」なのですが、あえて間違えて「平成1年1月1日」として入力してみます。
日付の入力の「お作法」に従って、年・月・日をスラッシュで区切って入力し、[Enter]キーで入力を確定すると、
「平成1年1月1日」は、正しくは「昭和64年1月1日」なんですよ〜、とExcelさんが図のような表示に変えてくれました!
Excelさんステキ!
それではこの「昭和64年1月1日」のデータをオートフィルして、日付の連続データを入力し、この年の何日までが「昭和64年」なのかを確認してみましょう!
「昭和64年1月1日」のデータが入力されているセルを選択し、適当にオートフィルすると、
この年は1月7日までが「昭和64年」、1月8日以降が「平成1年」であることが分かりました!
そして、今回ご紹介する操作の考え方を分かりやすくするため、「平成1年」の最後の日付を、一番後ろのセルに入力してみます。
どんな年も、1年の終わりの日は12月31日なので、もちろん「平成1年」も最後の日は12月31日ですから、この日付をこれまた日付の入力の「お作法」に従って、年・月・日をスラッシュで区切って入力し、[Enter]キーで入力を確定します。
更に、平成1年12月31日のデータが入力されているセルを選択し、適当にオートフィルして、この日以降の日付も何日か入力してみます。
平成1年12月31日以降のデータを入力することができました。
これは、今回ご紹介する操作のビフォーアフターを分かりやすくするため入力しました。
続いて今度は、最初に入力した「昭和64年1月1日」よりも前の日付を入力してみます。
「昭和64年1月1日」の日付データが入力されているセルを選択し、適当にオートフィルします。
昭和64年1月1日よりも前の日付データを入力することができました。
これも、今回ご紹介する操作のビフォーアフターを分かりやすくするため入力しました。
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「昭和64年」は7日間のみ
こうして日付を入力することで、「昭和64年」は、1月1日から7日までの7日間のみで、同じ年でも1月8日以降の日付は「平成1年」であることが分かりました!
ということは、「平成1年1月8日から12月31日まで」の日付データが入力されている場合に、「平成元年」と表示させたいことになるので、それを図に表すとこうなります!
でも更にですよ、それを逆に考えると、
- 昭和64年1月7日以前は普段どおりの表示でOK
- 平成2年1月1日以降も普段どおりの表示でOK
というシンプルな考え方になります。
というわけで、上記の条件に当てはまる時は、普段の日付の表示形式で、
そうじゃない場合には、必然的に「平成1年1月8日から12月31日まで」のことになるので、「平成元年」と表示させたい、という条件付きのユーザー定義の表示形式を設定していきます。
ただここで1つ問題が!
条件付きのユーザー定義の表示形式では、条件を [<=s64/1/7] のような日付の状態で指定してもうまくいかないんです。
Excelでは、一見ふつうに見える日付データも、裏ではシリアル値という数字で管理されています。
そんなこともあり、ユーザー定義の表示形式で日付を条件にしたい時は、その日付をダイレクトにExcelさんにお伝えすべく、シリアル値で指定する必要があるんです!
シリアル値を調べる
それでは、条件に使う各日付のシリアル値を調べるために、先ほど入力した日付に操作を加えていきましょう。
日付を入力した先頭のセルの、隣のセルを選択し、隣のセルと全く同じデータが表示されるよう、セル参照の数式を入力し、[Enter]キーで確定します。
セル参照の数式のおかげで、隣のセルと全く同じデータが表示されるようにできました!
残りのセルにも、同様のセル参照の数式を入力するため、オートフィルすると、
残りのセルにも、隣のセルと全く同じデータが表示されるようにできました!
さて、セル参照を使って、隣のセルと全く同じデータが表示されているB列のセルは、現在は元のA列と同じ表示形式で日付が表示されています。
シリアル値を調べたいときは、表示形式を[標準]にすればいいわけですから、B列の日付が入力されているセルが範囲選択されている状態で、範囲選択されているセルのところだったらどこでもいいので右クリック、
[セルの書式設定]をクリックし、
表示されたダイアログボックスの[表示形式]タブで、[標準]を選択し、[OK]ボタンをクリックすると、
日付データをシリアル値として表示させることができました!
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ユーザー定義の表示形式はこうなる!
それでは、ユーザー定義の表示形式の設定に入っていきましょう!
まず、整理しておいた、上の図の2つの条件を、
シリアル値の表に当てはめるとこうなります。
昭和64年1月7日のシリアル値は「32515」、平成2年1月1日のシリアル値は「32874」。
というわけで、条件はこのようになります。
- 「32515(昭和64年1月7日)」以前は普段どおりの表示でOK
- 「32874(平成2年1月1日)」以降も普段どおりの表示でOK
そして、上の2つの条件に当てはまらなかった場合には、必然的に「平成1年1月8日から12月31日まで」のことになるので、「平成元年」と表示させたい、ということになります。
そして、条件付きのユーザー定義の表示形式は、条件に該当する場合、該当しない場合それぞれを、図のような順番で記載し、それぞれを「;(セミコロン)」で区切って設定しますので、
[<=32515]ggge"年"m"月"d"日";[>=32874]ggge"年"m"月"d"日";ggg"元年"m"月"d"日"
となり、これは、
- (日付の裏で管理されているシリアル値が)「32515」以下だったら、ggge"年"m"月"d"日"の表示形式で。
- (日付の裏で管理されているシリアル値が)「32874」以上だったら、ggge"年"m"月"d"日"の表示形式で。
- そうじゃなければ、ggg"元年"m"月"d"日"の表示形式で。
という意味の設定になります。
「ggge"年"」だと、「昭和58年」「平成14年」のように、年が元号と数字で表示されるので、2つの条件に該当しない「平成1年」の時は、元号は表示させるけど、年の数字は表示させずに文字で「元年」となるように設定します。
ちなみに、今回使う表示形式は、「ggge"年"m"月"d"日"」としましたが、もちろんお好きな表現にしていただいてOKです。
もちろん、ユーザー定義の表示形式で使う記号は、半角で入力します。
それでは試しに設定してみましょう!
A列もB列も、日付を表すデータが入力されていることには変わりないですし、これはお試しの設定なので、A列とB列のどちらに設定しても、または両方に設定してもいいのですが、今回はA列のデータに設定してみることにします。
表示形式を変えたいセルを範囲選択し、範囲選択されているセルのところだったらどこでもいいので右クリック、
[セルの書式設定]をクリックします。
表示されたダイアログボックスの[表示形式]タブで、[ユーザー定義]を選択すると、現在範囲選択しているセルに設定してある表示形式を、ユーザー定義の記号であらわしたものが選択された状態になっていて、更にそれと全く同じものがこの欄の一番上にも映し出されています。
この[種類]欄の一番上の欄に、先ほどまとめたユーザー定義の表示形式の記号を入力します。
(一応この下にも、同じものを記載しておきます。)
入力するものが長過ぎるので、最後まで入力すると、先頭が見えなくなってしまいますが、確認したいときはこの欄に文字カーソルがある状態で、キーボードの[←]キーをポンッポンッと押していくと、先頭の方を確認できます。
[<=32515]ggge"年"m"月"d"日";[>=32874]ggge"年"m"月"d"日";ggg"元年"m"月"d"日"
ダイアログボックス右下の[OK]ボタンをクリックすると、表示形式が設定され、「平成1年」の日付が「平成元年」と表示されています!
ここまでは、「平成1年」を「平成元年」と表示させる仕組みについてご説明するため、このような表を使って設定してみましたが、最後によくありそうな表にも同様の設定をしてみることにしましょう。
この表では、それぞれの人の生年月日が入力されています。
先ほどと同様、セルに入力されている日付が「平成1年」のものは、「平成元年」と表示されるように設定していきましょう!
生年月日が入力されているセルを範囲選択し、範囲選択しているセルのところだったらどこでもいいので右クリック、[セルの書式設定]をクリックします。
表示されたダイアログボックスの[表示形式]タブの[ユーザー定義]で、先ほどと全く同じ、下記のユーザー定義の表示形式の記号を入力します。
[<=32515]ggge"年"m"月"d"日";[>=32874]ggge"年"m"月"d"日";ggg"元年"m"月"d"日"
ダイアログボックス右下の[OK]ボタンをクリックすると、表示形式が設定され、「平成1年」の日付が入力されているセルは、「平成元年」と表示されています!
ここまでで、「平成1年」を「平成元年」と表示させる2つの方法のうち、ユーザー定義の表示形式を使う方法をご紹介しました。
興味のある方は、条件付き書式を使う方法も是非ご覧ください。