名簿を作る際、会社名は「株式会社」や「有限会社」などの種別を含めて入力するのが一般的かもしれません。
ですが、いざ完成した名簿で、会社名であいうえお順になるよう並べ替えをすると、「株式会社」や「有限会社」といった種別を含めて並べ替えられてしまうので、「株式会社」や「有限会社」といった種別を含まず、社名のみで並べ替えることはできません。
もし、「株式会社」や「有限会社」といった種別を含まず、社名のみで並べ替えられるようにしたい場合には、今回ご紹介するような構造の名簿を作ると便利です。
最初の重要ポイントは、名簿にどんな項目を作るか。
「株式会社」や「有限会社」などの種別を除いた、社名だけで並べ替えしたい、ということは、単純に「株式会社」や「有限会社」などの種別を入力する項目と、社名のみを入力する項目を別に作ればいいことになります。
ただし、種別と社名を分けて入力しただけでは、「株式会社あいう商事」のように前株なのか、「あいう商事株式会社」のように後株なのかが分からなくなってしまうので、「株式会社」や「有限会社」などの種別が前にくるのか、後に来るのかを入力する項目も設けます。
その他には、図のような項目を作りますが、それ以外の住所や電話番号の項目はお好みで追加してください。
先頭の「No」の項目は、入力した順番で並べ替えできるようにするための項目なので、不要な方は作らなくてOKです。
項目名の入力が終わったら、早速、作り込みに入っていきましょう!
「株式会社」や「有限会社」以外に対応するために
まずは完成図の確認。
「会社種別」欄は、「株式会社」や「有限会社」などの種別を入力するために設けた欄です。
ただ、毎回毎回、いちいち手入力で入力するのは面倒なので、ドロップダウンリストで選択するだけの使い勝手にしたいです。
ですが、「株式会社」や「有限会社」以外に「税理士法人」などの種別が付くところもあるので、気付いた時に会社種別の選択項目を簡単に増やせるようにしたいです。
そこで、「元データの追加だけで選択項目も自動で増えるドロップダウンリスト」でご紹介している方法を使って、ドロップダウンリストを設定します。
まずはドロップダウンリストの元データとするため、会社種別の一覧表を作ります。
新しいシートを追加し、
そのシートの名前を、分かりやすいものに変更しておきます。
【Office 2010】
Office 2010では、規定で新しいシートが3枚付いているので、「Sheet2」を使えばOKです。
もし新しいシートが無い場合には、シート見出しの右端にある[ワークシートの挿入]をクリックすると、新しいワークシートを追加できます。
追加したシートの各セルに、「株式会社」や「有限会社」、「医療法人」などなど、自分が作る名簿に入力する会社の種別を入力していきます。
後から簡単に増やせるので、今の時点では思いつくものだけで大丈夫。
また、この一覧の先頭のセルは、必ず項目名にしてください。(1行目からいきなり「株式会社」などのデータを入力するのではなく、先頭行は図のように項目名にします。)
この次の操作で、この一覧をテーブルに変換するのですが、テーブルには項目名が必ず必要だからです。
それではこの一覧表を、まずはテーブルに変換します。
データが入力されているセルならどのセルでも構わないので、どれか1つのセルを選択し、
[ホーム]タブ、
[スタイル]グループの、[テーブルとして書式設定]ボタンをクリックし、
一覧から好みのものをクリックで選択します。
ちなみに、ここで表示される一覧は、操作中の文書に設定されているテーマによって変わってくるので、色が図と同じじゃなくても、気にする必要はありません。
表示されたダイアログボックスで、テーブルに変換したい範囲が正しいかを確認し、更に[先頭行をテーブルの見出しとして使用する]にチェックを付け、[OK]ボタンをクリックします。
一覧表をテーブルに変換することができました。
続いて、テーブルに変換した一覧表の中で、ドロップダウンリストの選択肢として使いたいセル範囲に名前を定義します。
今回は一覧表の先頭にある項目名以外のセルの内容が、ドロップダウンリストの選択肢として表示されるようにしたいので、項目名以外のセル範囲に名前を定義していきましょう。
まずは名前を定義すべく、ドロップダウンリストの選択肢として使いたいセルを範囲選択します。
この時、普段どおりドラッグで範囲選択してもいいのですが、テーブルには、テーブルならではの選択方法があるので、それを使って範囲選択することにしましょう。
「会社種別」列の見出しの上端にマウスポインタを合わせ、マウスポインタが図のような黒い矢印に変わったらクリックすると、「会社種別」列のデータ部分のみを範囲選択することができました。
テーブルならではの選択方法のおかげで、範囲選択したかった場所を手っ取り早く選択することができるわけです。
名前ボックスに好みの名前を入力後、文字カーソルが消えるまで[Enter]キーで入力を確定します。
名前を定義すると、普段ならその名前がこのボックスに表示されますが、今回のようにテーブルにかぶせて名前を定義した場合には、その名前が消えてしまいます。
でも、ちゃんと名前は設定されていますので、心配する必要はありません。
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ドロップダウンリストの設定
準備が終わったので、名簿側にドロップダウンリストを設定します。
「Sheet1」に切り替えます。
設定は、1件目のデータを入力するセルだけでOK。(理由は後でご説明します。)
ドロップダウンリストを設定したい「会社種別」欄の、1件目のデータを入力するセルであるB2番地を選択し、
[データ]タブ、[データツール]グループの[データの入力規則]ボタン(▼がある方ではなく、絵柄の方のボタン)をクリックします。
[設定]タブの[入力値の種類]で「リスト」を選択し、[元の値]欄でクリックして、この欄に文字カーソルを入れます。
この[元の値]欄には、ドロップダウンリストの選択肢として表示したいデータを設定します。
選択肢として表示したいデータは、先ほど定義した名前の範囲なので、キーボードの[F3]キーをポンッと押すと、
この文書に定義された名前が一覧表示されます。
ドロップダウンリストの元データとしたい名前をクリックで選択し、[OK]ボタンをクリックすると、
[元の値]欄に選択した名前を設定することができました。
最後にダイアログボックス右下の[OK]ボタンをクリックします。
ドロップダウンリストを設定することができました!
ドロップダウンリストを設定したB2番地を選択した状態で[▼]をクリックすると、定義した名前の範囲のデータが、選択肢として表示されていることが分かります!
それでは設定したドロップダウンリストを使って、1件目の会社種別を選択しておきます。
もし、1件目のデータが、株式会社や有限会社など、法人にしていない場合には、何も入力しなくてOKです。
「株式会社」や「有限会社」などは、会社によって社名の前にきたり、後にきたりするので
お次も完成図から。
今度は、「株式会社」や「有限会社」などの種別が、社名の前に来るのか、後に来るのかを入力する欄を設定します。
これも「前」「後」を選択するだけにしたいので、ドロップダウンリストを設定していきます。
ですが、先ほどの会社種別のように、後から簡単に選択肢を追加できるようにする必要はなく、「前」か「後」かの選択肢を作ればいいだけなので、ドロップダウンリストの設定時に、選択できる内容を直接指定する方法で設定していくことにしましょう。
設定は、1件目のデータを入力するセルだけでOK。(理由は後でご説明します。)
ドロップダウンリストを設定したい「種別前後」欄の、1件目のデータを入力するセルであるC2番地を選択し、
[データ]タブ、[データツール]グループの[データの入力規則]ボタン(▼がある方ではなく、絵柄の方のボタン)をクリックします。
[設定]タブの[入力値の種類]で「リスト」を選択し、[元の値]欄でクリックして、この欄に文字カーソルを入れます。
今回[元の値]には、選択肢の内容を直接指定するので、図のように、選択肢として表示させたいデータを半角カンマで区切って入力します。
最後に[OK]ボタンをクリックすると、
ドロップダウンリストを設定することができました!
それでは設定したドロップダウンリストを使って、1件目の種別前後を選択しておきます。
もし、隣のB2番地に、会社種別を入力していない場合には、何も入力しなくてOKです。
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社名のフリガナを表示させる
続いて、「社名のみ」欄には、「株式会社」や「有限会社」などの種別を除いた、社名のみを入力します。
この時点では1件目のデータだけ入力すればOK。
今度は「社名カナ」欄であるE2番地に、先ほど入力した社名のフリガナが表示されるよう、PHONETIC関数を設定します。
フリガナを表示させたいE2番地を選択し、[関数の挿入]ボタンをクリック。
ここからPHONETIC関数の設定に入ります。
D2番地に入力された社名のフリガナが表示されるよう、PHONETIC関数を設定します。
設定方法が分からない方は「ふりがなを表示!PHONETIC関数」をご覧ください。
E2番地に、D2番地に入力された社名のフリガナを表示させることができました!
E2番地を選択した状態で数式バーを見ると、設定した数式の中身を確認できます。
今回設定した数式は、このようになります。
会社名をフルネームで表示させるには
最後に、B2番地に入力した「株式会社」という種別と、D2番地に入力した社名をドッキングさせ、会社のフルネームとして「会社名」欄に表示させます。
別々のセルに入力されたデータをドッキングして、1つのデータのように表示させるには、「&」を使います。
実際の操作に入る前に、この「会社名」欄の表示にはどのようなパターンがあるのか考えていきましょう。
まずは1つ目。
「種別前後」欄に何も入力されていない場合。
「種別前後」欄に何も入力されていないということは、必然的に「株式会社」や「有限会社」などの「会社種別」が入力されていないということになります。
これは、株式会社や有限会社などの法人にしてない事務所などのケースです。
この場合は、「会社種別」欄には何も入力されていないので、単純に「社名のみ」欄のデータをそのまま、「会社名」欄に表示させることになります。
2つ目のパターンは「種別前後」欄が「前」になっていた場合。
この場合は「株式会社伏見いなり銀行」のように、「株式会社」などの種別が社名より前にくるので、「会社種別」「社名のみ」の順でドッキングしたものが、「会社名」欄に表示されるよう、
「&」でつないだ数式を設定します。
3つ目のパターンは「種別前後」欄が「後」になっていた場合。
この場合は「伏見いなり銀行株式会社」のように、「株式会社」などの種別が社名の後にくるので、「社名のみ」「会社種別」の順でドッキングしたものが、「会社名」欄に表示されるよう、
「&」でつないだ数式を設定します。
というわけで、これら3つのパターンをまとめるとこうなります。
そして、これら3つのパターンによって表示を変えるために、IF関数でとりあえず2つに分け、そのうちの片方をまたIF関数で分ける、というように、IF関数の中にIF関数を入れ込むことで対処していきます。
尚、Office 365のExcel 2016では、この処理をもっと簡単にするために生まれたIFS関数があるので、IFS関数を使いたい方は、「IFS関数の場合はこうなる」の章をご覧ください。
というわけでここでは、IF関数の中にIF関数を入れ込む処理をしていきましょう!
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IF関数の中にIF関数を入れ込む
まずは結果を表示させたいF2番地を選択し、[関数の挿入]ボタンをクリックします。
関数を指定するためのダイアログボックスが表示されるので、[関数の分類]で「すべて表示」を選択すると、すべての関数が[関数名]欄にABC順で表示されます。
今回はIF関数を使いたいので、一覧から「IF」をクリックで選択し、[OK]ボタンを押します。
ちなみに、この一覧から「IF」を選択する際、「IF」の頭文字である「I」のところまで、一瞬でスクロールする技を使うと便利です。
前のダイアログボックスで「IF」を選択して[OK]ボタンをクリックすると、このようなダイアログボックスが表示されます。
まず1つ目のパターンは、「種別前後」欄であるC2番地が空欄だった場合、単純に「社名のみ」欄であるD2番地のデータをそのまま表示させたいわけですから、図のような設定になります。
[論理式]に設定したダブルクォーテーション2つは「空欄」という意味です。
ダブルクォーテーションや「=(イコール)」は、半角で入力します。
これで1つ目のパターンの設定は終わりました。
でも、残り2つのパターンがあるので、どちらに該当するのか、切り分けなければいけません。
そこで、条件に該当しなかったものを設定する[偽の場合]欄に、更にIF関数を入れて、残りを更に2つに切り分ける設定をします。
現在、[真の場合]欄に文字カーソルがあるので、
キーボードの[Tab]キーをポンッと押すと、[偽の場合]欄に文字カーソルを移すことができました。
1つ目のパターンに該当しなかったものを更に切り分けるわけですから、[偽の場合]欄に文字カーソルが入っている状態で、数式バーの左端にある[▼]をクリックすると、
最近使った関数が一覧表示されます。
この一覧から「IF」をクリックで選択すると、
先ほどまでのIF関数のダイアログボックスが、新しいIF関数のダイアログボックスに変わり、数式バーに表示されている数式も、IF関数の中に更にIF関数が入っていることが分かります。
それでは切り分けの設定をしていきましょう。
2つ目のパターンは「種別前後」欄であるC2番地が「前」になっていた場合、「会社種別」のB2番地、「社名のみ」のD2番地の順でドッキングして表示されるようにしたいわけですから、図のような設定になります。
Excelでは、数式内の文字はダブルクォーテーションで囲むのがお約束なので、「前」の文字の前後はダブルクォーテーションで囲みます。
ダブルクォーテーションや「=(イコール)」は、半角で入力します。
これで2つ目のパターン設定が終わったので、次の設定に入ります。
現在は[真の場合]欄に文字カーソルがあるので、キーボードの[Tab]キーをポンッと押すと、
[偽の場合]欄に文字カーソルを移すことができました。
これで、2つ目のパターンまで設定が終わりました。
1つ目のパターンにも該当せず、2つ目のパターンにも該当しないとなると、必然的に「会社種別」が「後」になっているものしか残らないので、3つ目のパターンの条件を設定する必要はありません。
そこで、[偽の場合]には、3つ目のパターンの場合にはどのように表示したいのかだけを設定します。
これで、3つのパターンによってどう表示させたいのかの設定が終わったので、最後に[OK]ボタンをクリックすると、
「種別前後」にどう入力されているかによって、「株式会社」や「有限会社」などの種別が適切な位置に表示されるようにした会社のフルネームを、F2番地に表示させることができました!
F2番地を選択した状態で数式バーを見ると、設定した数式を確認することができます。
今回設定した数式はこのようになります。
「エクセルで会社名・役職付き住所録の作り方」からこのページにいらっしゃっていた方は、ここで元の住所録の作り方ページに戻ります。
下記の赤いボタンをクリックすると、住所録の作り方の、続きから操作できます。
「エクセルで会社名・役職付き住所録の作り方」ページの続きを読む
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IFS関数の場合はこうなる
Office 365のExcel 2016では、IF関数の中にIF関数を入れ込む処理を簡単にすべく生まれたIFS関数があるので、これを使えば、F2番地の「社名のみ」欄に設定する数式はもっと分かりやすくなります。
IFS関数を選択して表示されたダイアログボックスは、最初は設定する欄が少ないですが、
設定していくと欄が増えていくので大丈夫。
IFS関数は、「もし(1)の場合にはA」、「(2)の場合にはB」、「(3)の場合にはC」・・・のように設定していきますが、必要な欄が見えない場合には、ダイアログボックス右側のスクロールバーを使うと、
各欄を確認できます。
最初にご紹介したIF関数の中にIF関数を入れ込む方法に比べ、IFS関数は考えやすいのが利点ですが、IFS関数が搭載されていないExcelで、IFS関数が設定された文書を開くと、うまく動作しません。
IFS関数が搭載されていないExcelでもこの文書を開く可能性がある方、そんな可能性分かるか〜!という方は、最初にご紹介したIF関数の中にIF関数を入れ込む方法を使います。
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名簿として機能するように整える
さぁ、これでメインとなる設定は終わりましたが、あくまでもまだ1件目のデータがうまく処理されるようにしかなっていません。
ただ恐らくこのページをご覧になっている方は、会社名簿を作成されている方だと思うので、この続きは会社名簿の作り方のページが完成後、そちらでご紹介していきます。
この後の主な操作の手順としては、この表をテーブルに変換し、
テーブルを拡張して2件目以降のデータが入力できるようにする、といった操作になります。
今回の操作では、ドロップダウンリストも、関数も、1件目のデータを入力するセルにだけ設定しましたが、テーブルを拡張することで、2件目以降のデータを入力するセルにも、その設定が自動的に引き継がれます。
テーブルを拡張すると、「会社名」欄に「0」が表示されますが、これはこの欄に設定されている数式を処理するのに必要なデータがまだ入力されていないからなので、特に気にする必要はありません。
社名のみの並べ替えは簡単
前の章でさらっとご紹介したように、完成した名簿はテーブルに変換しているので、並べ替えも簡単!
もし社名のみであいうえお順に並べ替えたければ、「社名カナ」に表示されている[▼]をクリックし、
[昇順]をクリックすれば、
「社名カナ」欄には「株式会社」や「有限会社」といった会社種別を除いた「社名のみ」欄のフリガナが表示されているので、社名の部分だけであいうえお順に並べ替えることができました!
また、今回の名簿では、会社種別を選択するドロップダウンリストの元データを、テーブル+名前の定義の2段階構造にしているので、会社種別の選択項目を増やしたい場合、元データを追加するだけで、
自動的にドロップダウンリストの選択項目が増えてくれます!